Scott Nolan

buppy2007-12-27

Scott Nolan 『Receiver / Reflector』

カナダのウィニペグを拠点に活動するSSW、Scott Nolanの3作目となるスタジオ作品。彼と、本作での共同プロデューサーGurf Morlixの邂逅は、昨年リリースされたRomi Mayesのアルバムのレコーディング時に遡る。Nolanの作品をプロデュースするという流れも、ごく自然な流れだったのだろう。無論、その流れの前提として、Scott Nolanの音楽が、師匠の琴線に触れる物であったからというのは言うまでもない。
当初Nolan自身は、前作以上のロックンロールレコードをという思惑があったようです。しかし、結果として、五日間のRoot Ball Studioでのセッションから生まれてきたのは、幼少の頃からの親友Robert Andrew Balinaの死を通過したNolan自身の内面が滲み出た音楽だった。そこには、喪失や別離を想起させるトラックが並び、彼の枯れた歌声が、殊更感傷的な思いを増幅させる。
本作の世界観を構築する上で、Gurf Morlixの裏方仕事の的確な裏方仕事も忘れてはならないだろう(死や別離という世界へと、メインアクトを無意識下で引き摺り込む特異な引力も関係している気もするが)。cheaply elegantの言葉に基づき、Scott Nolanに、パーカッション奏者Joanna Miller(おそらく、私生活でもパートナーなのだろう)、Gurf Morlixの少数編成で生み出す、眠るようにスロウでダルなグルーヴ感。一つの感覚を終始貫く潔さ(決して一本調子という事ではない)。
流通経路も限定される為、語られる機会は圧倒的に少ないだろうが、高い水準で纏まった作品です。