Jason Isbell

buppy2007-12-22

Jason Isbell 『Sirens Of The Ditch』

Drive-By Truckers時代、たった8曲で忘れられない鮮烈な印象を残した男がいる。3名のフロントマンの一角だった男、Jason Isbell。20代前半でDrive-By Truckersへ加入し駆け抜けた記録を、28歳の現在吐き出したソロデビュー作(実際はバンド時代から録りだめていたようですが)。セルフプロデュースで、一部をPatterson Hoodとの共同。録音はマッスルショールズのフェームスタジオで。バックメンバーはDrive-By Truckersのメンバーに、David Hood・Spooner Oldhamらマッスルショールズの裏方まで登用。
David Hood・Spooner Oldhamをバックに、ドロドロと沼に沈み込むM2「Down In A Hole」。ピアノの旋律を中心に置きながら、祖父への畏敬の念を込めたM4「Chicago Promenade」。収録曲には、印象的なトラックも多く、総じてクオリティは高いのだけれど、やはり白眉はM5「Dress Blues」か。海兵隊員としてイラクへ派兵、爆死した高校時代の知人Matthew Conleyについて歌われるこの歌は、パーソナルな内容と共に、メッセージも同居する。ただ帰らぬ人となった友人の帰国風景を見つめ、過去を追想する。形ばかりのLove&Peaceより、遥かに重く真摯なメッセージは、優れたメロディと共に。今後、彼のキャリアを語る上で外せない1曲になるのではないでしょうか。どうでもいい話ですけど、思わず自分の携帯電話の着うたにこの曲を使ってしまったのですよ(笑)。演奏面でも、自身のギター・ピアノ・ドブロ・バンジョーの使いどころも心得たもので、その辺りは新人離れしている(新人とは言えないけど:笑)。
一部海外メディアでは、若い頃のRyan Adamsを髣髴とさせるみたいな記述もあったが、彼の場合、もっと純粋に音楽オタクな感じがして好感持てます…サンクス欄の最初の方に、Donnie Frittsの名前を挙げたりする辺り(笑)。さておき、今後の伸び代も充分に感じられる、非常に印象的な1枚である事は確かです。