西海岸の南部男

Diamonds in the SunDiamonds in the Sun
Walt Wilkins & the Mystiqueros

Palo Duro 2007-07-24
売り上げランキング : 185703

テキサスのSSW、Walt Wilkinsの最新作は、70年代西海岸辺りの香りを濃厚に漂わせる。プロデュースはLloyd Mainesが担当。既存のWilkinsの作品と異なり、ドラムのRamon Rodriguezを除くメンバーとして、SSWとしてのキャリアを持つBill Small・Marcus Eldridge・John Greenberg(Johnny Gringo)の3名を起用。その関係もあってか、Wilkins以外のメンバーがリードを取る曲も数曲アルバムに収録されている。ベースのBill Small作のタイトルトラックM4「Diamonds In The Sun」では、やや擦れたSmallの声に、メロウな曲調・Lloyd Mainesによる良い塩梅のスティールギターの音色もあって、思わず今年云十年ぶりの新作をリリースするバンドの名前が口をついて出そうになる。John Greenbergがリードを取るM7「Red River Blues」は、彼のソロ作品からの再演曲。コーラスによって音に厚みが加わり、ソロVer.よりも鮮やかな印象を受ける。鼻から抜けるような甘い歌声のMarcus Eldridgeがリードを取るM9「All These Memories」と、三者三様の味わいを覗かせる。それらのトラックが挿入されている事で、作品に変化が加わり、Wilkinsのリード曲も一層光る。長々と語ったそれらの点もポイントだが、何よりも本作の骨子となるのは、Ray Stephenson作の「Honky-Tonk Road」や、The Bandの「The Shape I'm In」で見せるバックのメンバーとのヴォーカルの掛け合いに尽きる。コレがやりたいが為に、全員歌える演奏陣で固めたのではないかと思える程に、活力に満ちた歌声が響く。