田舎ビートルズ@アリゾナ

AnthemAnthem
Chris Scruggs

Cogent 2009-09-28
売り上げランキング : 296608

彼の事を紹介する場合、元BR549のメンバーやEarle Scruggsの孫と言った方が通りが良いのでしょうか。M. WardやCharlie Louvinの近作への参加等、長らくセッションマンとしての活動を中心にしていたせいか、自身のリーダー作は結構久しぶりな印象です。アリゾナ州タクソン録音で、エンジニアはCalexico作品のプロデューサー等で知られるCraig Schumacherが担当。
所謂70年代の音楽ファンにとっては、Ron Daviesの1st『Silint Song Through The Land 』収録の「Open Road, The Open Sky」を取り上げている点に注目がいくかもしれません、しかもオリジナル同様にギター1本での弾語りと来ましたよ。確かDaviesは、Scruggsにとっては叔父にあたる人で、Daviesの遺作『Where Does The Time Go』に、参加もしていたような記憶が。
スイング調のM8「Where The Wind Might Blow」では、Don Herronのフィドル、暴れるScruggsのスティールとエレキ、Nick Lucaの跳ねる鍵盤が最高にご機嫌。続くM9「Old Souls Like You And Me」では、Kelly Hoganをバックヴォーカルに、時折聴こえてくる癖のあるHowe Gelbのピアノが印象的なワルツです。続くM10「Windows」では、元バンドメートのChuck Meadがハーモニーで参加。
田舎ビートルズ(John Lennon風味が強い感じでしょうか)・アリゾナの埃っぽさ・トラディショナルなカントリー&フォーク精神が混在し、混沌としながら、芯が通っている、何とも奇妙な印象の1枚。ある意味、Chris Scruggsという人物のバックグラウンドが滲み出た作品と言えるかもしれません。