Catherine Maclellan

Church Bell BluesChurch Bell Blues
Catherine MacLellan

True North 2008-05-27
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明日から九月ですって…論文・面接・出張と、秋は憂鬱なイベントが盛り沢山。社会人の宿命とは言え、山奥に行っている時期には、見事に来日公演ラッシュという有様…熊や猪に襲撃されないように、準備は整えていきましょう。そんな精神状態も手伝って、最近はどうもアップな音源には手が伸びません。行く前から落ちちゃいそうな勢いで、Nick DrakeとTownes Van Zandtをローテーションで聴きださないように、踏み止まる日々です…うっかり、Iron & Wineのオランダのフェス出演TV映像を入手して、夜中に見ていて、落ちかけましたからね(笑)。
カナダの女性SSW、Catherine Maclellanの2ndアルバム。本作収録曲の多くは、秋から冬にかけて書かれたものだとは本人の弁。自身の悲しみなどのダウンな感情を曲に忍ばせる上で、季節が運ぶ静寂や生命の枯渇感がインスピレーションを掻き立てたというところか。大半のトラックは、MaclellanとプロデューサーのJames Phillipsが演奏するギターの音色によって構成されている。マンドリンやオルガン、ドラムやパーカッションなども挿入はされているが、作品の基礎を形成するのは静かに鳴らされるギターの音だ。特に、M6「The Long Way Home」で聴かれるような、アコースティックギターとエレクトリックギターの交錯と、しばれた空気を漂わせるMaclellanの歌声には弱い自分がいる。
そう言えば、彼女のバイオを調べていて、オッと思ったのが、「Snowbird」や「Put Your Hand In The Hand」の作者でもあるSSW、Gene Maclellanが彼女の父親だという話。彼女が10代になった頃、既に彼は亡くなっていたそうだが、幼い頃に見たリビングで作曲する父親の姿や、80年代のMTV全盛期に買い与えられたThe Beatles・The Band・Eric Claptonといった音楽は、彼女の音楽を築く大きな基礎となっている事は想像に難くない。彼女自身、父親へは純粋な敬愛の情を抱いているのだろう。彼女の父親への思いを綴った「Long Time」という曲で本作は幕を閉じるのも、そんな感情の表れと言えるかもしれない。