思わずダラダラ書かせておくれ

Trouble in MindTrouble in Mind
Hayes Carll

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South Austin Jug Band

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さあ、明日はJDG@京都…仕事終わりに直行しても、開演時間ジャストには間に合わないけれど、行っちゃいますよ。
この人がLost Highwayと契約した辺りから、ずっと騒いでいた日本人は少数派だと思いますけど…ついに到着しました。テキサス州ヒューストンのSSW、Hayes Carllの通算3作目、メジャーデビュー1作目の『Trouble In Mind』がね。プロデュース・エンジニア・ミックスはBrad Jonesが担当(ほぼ全編でベースを担当するのもJones)。録音はTom Waitsのカヴァーのヴォーカルパートを除き(こちらのエンジニアはMark Addison)、全てナッシュヴィルで行われている。昔のテキサスのミュージシャン連中は、地元に録音スタジオが無い為、ナッシュヴィルまで赴き録音を行っていたそうだが、奇しくも2000年代に入った今、この男が同地に赴き作品を作るというのは、因縁めいた物を感じるではないですか。
オープニングを飾る「Drunken Poet's Dream」はRay Wylie Hubbardとの共作曲で、Chris Carmichaelのフィドル、Al Perkinsのスティール、My Morning JacketのCarl Broemelのギター、Hayes Carllのウィスキーヴォイスが溶け合う。彼の音楽を象徴する要素が集約されているという点で、Carllのテーマ曲とも言えなくはないか。確か共作者のRay Wylie Hubbardも、ライヴなどで披露しているので、Ray Wylie自身の歌う本曲の発表も待たれるところ。
収録曲の中のカヴァーでは、世間的にはTom Waitsの「I Don't Wanna Grow Up」辺りが話題に出そうですが、自分にとっては、それ以上に衝撃的な物が。それが、カナダのScott Nolanの昨年リリースのアルバム(Gurf Morlixプロデュースね)のオープニングトラックだった「Bad Liver And A Broken Heart」です。抑制したトーンで展開されるオリジナルに対し、ギターにDan Bairdを配して展開される本作収録Ver.は疾走感を伴い貫けた印象(まあ、ある時期のストーンズみたいと言えばそうなんだけど)。どちらが優れているかではなくて、どちらも好きですよ(笑)。
また、オープニングトラック同様に共作者を迎えた曲も数曲あるが、ラスト2曲の共作者には思わず唸る。Darrell Scottとの共作曲「Willing To Love Again」で魅せる、Scottのワイゼンボーンと、Carllのアコースティックギターのみのシンプルな編成で綴る、情けなさと遣る瀬無さ。Brian Keane(オースティンからナッシュヴィルへ移ったSSWで、The Band Of Heathensの初期メンバー。彼のソロ作品も、優れたソングライティング能力を遺憾なく発揮した、おさえておきたい1枚ですよ)との共作曲「She Left Me For Jesus」での、ホンキートンクな魅力は、抗し難いものがある。
本作に起用されたミュージシャン連中も思わず声に出してみたくなってしまう…病気ですね(笑)。ギターだけとってみても、前述のDan Baird・Carl Broemel・Darrell Scottを筆頭に、Will Kimbrough・Pat Buchananという布陣。そこにFats KaplinやAl Perkinsと言った連中が顔を並べる。正にメジャーの資金力が成せる業という面もあるが(笑)、面子が面子だけに裏ナッシュヴィル仕様の音となると。
まあ、レーベルサイドの打ち出してるStephen Kingが絶賛なんてくだらない謳い文句は置いておくとして、必死に60年代や70年代の音楽を掘り返すだけが全てではない事をメジャーレーベル発信で伝えて来る1枚ではないでしょうか…まあ、悪名高きLost Highwayの事だから、これ1枚で切る可能性も充分考えられるのだけれど(笑)。何はともあれ、本作のクレジットにあるミュージシャンを辿るだけで、そこは地獄の一丁目。