今聴くべき音楽は何処にある

buppy2009-02-23

Gurf Morlix 『Last Exit To Happyland』

どうも、この人の話題になると、テンション高いですよ、ウチのブログは。まあ、何ですかね信者ですから(笑)。
さて、いよいよ到着しました師匠の最新作。インスト作品もカウントすれば、通算6枚目となるスタジオ作品。前作『Birth To Boneyard』から引き続き、自主レーベルRootballよりのリリースとなっております。アートワークは、奥方Brende Fullerの手によるもの。例によって例の如く、Rick Richardsのドラムを除く楽器演奏はGurf Morlixの手によって行われているのも変わらず。前作同様に、Patty Griffinが3曲でバックヴォーカルとして起用されている他、新たにBarbara KやRuthie Foster(そういえば、来月来日でしたか)がバックヴォーカルで参加しているというのがトピックと言えばそうなるのか。
全曲Gurf Morlixの手によるオリジナルながら、「I Got Nothin'」と「Drums From New Orleans」はオースティンのヘンテコミュージシャンGeorge Carverとの共作曲となっている(Papa Mali繋がりかな)。Patty Griffinのバックヴォーカルもあってか端正な印象の前者と、ドロドロと足を引きずり込まれるような後者が、同じコンビで共作されているというのも面白いですね。
その他、Robert Johnsonのクロスロード伝説に着想を得た「Crossroads」、Blaze Foleyに捧げられた「Music You Mighta Made」(Lucinda Wiliamsの「Drunken Angel」も彼に捧げられた歌ですが、この曲が誰の差し金であったかは言わずもがなでしょう)の2曲が、本作に収録されているのは、個人的には非常に嬉しいところです。どちらも来日公演時に披露していた印象的な新曲だったもので(いや、後者は広島2日目のサウンドチェック時に披露していただけですが…というか、無理言って演奏してもらった、バカ者ですが)。
ラストトラックの「Voice Of Midnight」は、Ian McLaganと、交通事故で亡くなったMcLaganの妻Kimに捧げられている(余談ながら、Kim McLaganは故Keith Moonの元奥方なのだとか)。静かに語りかけるように、言葉を噛み締める。Patty Griffinの声が、哀惜の情を一層浮き彫りにする。この曲を聴いた瞬間、何故かSam Bakerの歌を聴いているような錯覚を起こしてしまった。
全てはシンプルでいながら、醸成された深みが伴う。それは、生酛造りの酒のように、崩れないドッシリとした味わいで、年月と共に増した味わいに他ならない。洗練されている訳ではないのに、人の心の底に入り込み、虜にする…そんな得難い魅力なのです。本作に収録された楽曲は、Gurf Morlixにしか描けない、歌えない、代替物の無い音楽ではないでしょうか。