The Band Of Heathens

The Band of HeathensThe Band of Heathens
The Band of Heathens

BOH 2008-05-20
売り上げランキング : 48234

最近は仕事でバタバタしてたり、あまり気分の良くない事もあったので、どうも気合が入らなかったのですが、こういう物を聴かせられると、思わず書かずにはいられない。ちょっとばかりフライング気味だけど、興奮冷めやらぬ内に。
ライヴパフォーマンスの熱量をスタジオ盤に込める事の難しさというのは、優れたライヴパフォーマンスを行うバンドにとっては、命題の一つだろう。そのハードルを軽く乗り越える作品を提示してくる奴等と出会う事が出来るから、この辺りの音楽を聴く事を止められずにいる訳なのだが。そう、そしてThe Band Of Heathensのレコードを耳にすれば、そんな数少ないバンドとの邂逅に、胸躍らずにはいられないだろう。
さて、現在のHeathensは、Ed Jurdi・Gordy Quist・Colin Brooksの3名のフロントメンバーに加え、ベースのSeth Whitley、ドラムのJohn Chipmanという編成になっている。フロントの一角だったBrian Keaneの離脱と、John Chipmanの参加が与えた変化は大きく、昨年末にリリースされたAntone'sでのライヴ盤で垣間見せた、よりタイトで結束力を増したバンドサウンドにシフトし、メンバーそれぞれの立ち位置が明確になったような気もします(ソングライティングやヴォーカルスタイルの違いが、器用なBrian Keaneが抜けた事で際立った感じ)。以前のJr. Resentmentsという触れ込みが、最早何の意味も持たないのは自明の理でしょう。バンドという一つの塊となって突き進む姿は、バンドという形態を取りながらも、その成り立ちから(Stephen Bruton御大の偉大なる趣味ですから)、どこか寄り合い所帯的なイメージのThe Resentmentsとは明らかに異なった物で、比較論が意味を成さないのだから(それを端的に示しているのが、メンバー間の共作曲の有無という点ではないだろうか)。
本作のプロデュースを担当するのはRay Wylie Hubbard。プロデュースのキッカケとなったのは、彼のラジオ番組へのHeathensのメンバーの出演だったそうです。レコーディング中、彼はバンドメンバーから冗談交じりに"Vibe Doctor"などと呼ばれていたようですが(「もっとクールにやろう」みたいな感覚的言動が多い人らしい)、そういった良好な関係が両者の間で築かれた事が、若いバンドの熱量を奪う事なく作品を成立させる一助となったのかもしれない。
本作へ客演しているミュージシャンは、プロデューサーのRay Wylieがスライド・ヴォーカルで1曲参加しているのを始め、マスタリングエンジニアとして参加しているGurf Morlixが、1曲のみPump Organで演奏にも参加している(カメオ出演的で、いるのかいないのかぐらいの演奏)。その他、Stephen Brutonがマンドリンで2曲、Patty Griffinがバックヴォーカルで3曲といった按配(Gordy QuistとAdam Carrollの共作曲M3「Maple Tears」あたりでの歌唱は、さすが)。シーンの重鎮とも言える面々が名を連ねるのは、彼らがオースティンのシーン内に息衝いた存在である事の証明だろう。
70年代の音楽をファッションとして拝借する輩は後を絶たない中、それらを咀嚼・嚥下し、自身の音楽として提示してみせる…Little FeatやThe EaglesやThe Bandといった先達の交差点に、ドッカリと根を下ろした若木とも言える彼らの音楽は、派手なギミックは無いが、確実に聴くものの耳を捉える。
と、相も変わらずオリジナリティの乏しい文章でツラツラと書いてしまいましたが、凄い好きなんだよって事を言いたいだけなんですけど。あっ、でも大した事無いな"橋下駄の音"金返せよとか言うのは勘弁(笑)