パリですって

Another CountryAnother Country
Tift Merritt

Fantasy 2008-02-26
売り上げランキング : 7163

Two Thousand MilesTwo Thousand Miles
Owen Temple

Thirty Tigers 2008-01-22
売り上げランキング : 259650

一言だけ、私はTift Merrittを貶せないので悪しからず・・・『Bramble Rose』はそんなに好きでもないですが(笑)。2ndアルバム『Tambourine』をリリース後、グラミーにノミネートされるも、Lost Highwayからは解雇の憂き目に会った彼女の、Fantasy移籍後初のリリースとなるのが本作(まあ、どちらもユニバーサル傘下のレーベルなので、同会社内のレーベル間移籍と言えばそうなのですが)。空白期間にパリのアパートを2週間借り、High Energy Roots Rockerの形容のまま突っ走る自身から距離を置き、一旦冷静に内面を見つめるクールダウンの期間を得た事がプラスに作用したのではないでしょうか。フランスから帰国した彼女のノートに詰め込まれた本作の萌芽は、日々の経験や人生の一瞬を切り取ったスナップショットのようなものだったのかもしれません。歌声自体も、それらの曲に呼応するように穏やな表情を見せ、ジャケット写真の淡い日の光を思わせる。そんな彼女を支えるのは、前作から引き続いての登板となるプロデューサーのGeorge Drakoulias、彼女のツアーバンドメンバーのリズム隊と鍵盤のZeke Hutchins・Jay Brown・Danny Eisenberg(ギターのBrad Riceは録音時期にKeith Urbanとのツアー中の為不参加)、ギターにCharlie Sexton・Doug Pettibone(ペダルスティール兼務で2曲参加)という布陣。ギターの両名に関しては、最早説明は不要でしょう(Doug Pettiboneは、触れられなさ過ぎている気もしますが・・・少なくとも最近のLucinda Williamsを語る人が、この人の存在を無視して話をする節があるのは納得がいかないものが。Jewelのバンドでギタリストだったせいでしょうか:笑)。それらのバックメンバーとフロントTiftとの噛み合が、商品と作品の中点を衝く良い音を鳴らすのです。しかし、ラストトラックが全編フランス語で歌われているとは思わず、ちょっと面食らいましたけど(笑)。