野生の雄叫び
TJ McFarland 『Howlin' Wild』
オクラホマのSSW、TJ McFarlandの通算3作目のスタジオ作。カリフォルニア録音で、当時のLucinda WilliamsのLove Bandの面々をバックに起用しての前作から一転、McFarlandのアコースティックギター・ハーモニカに、Rick Mortonのマンドリン・フィドルのサポート、数曲バックコーラスが入るのみのシンプルな編成に。「海が血に染まっても、バチカンは救っちゃくれない」という一節が印象的な「Father Law」、ニルヴァーナのフロントマンを題材にした「Kurt Cabaine」など、歌詞の意味の深層を取れると尚楽しかろうと思わせるフォークソング集といった塩梅か(怪しい英語読解なんでアレですが)。そういったメッセージも一つの魅力、もう一つは、彼の書く曲の魅力。それが、削ぎ落とされた空間の中で鈍色に光る、この何とも言えない空気感に酔う。