buppy2009-11-02

Matt Harlan 『Tips & Compliments』

テキサス生まれテキサス育ちのSSW、Matt Harlanのデビュー作。彼も例によって例の如く、Kervilleのウィナーなのです。彼の声にChris Smitherという喩えも挙がっていますが、個人的には、その端正な歌声と、情景を聴き手の頭の中に広げさせる雰囲気にはWalt Wilkins辺りを彷彿とさせるものがあります。
プロデュースは、テキサスのマイナーミュージシャン請負人Rich Brothertonが担当し、彼のスタジオAce Recordingsで録音も行われている。彼の各種弦楽器に、Rankin Peters・Mike Mizma(どうも2人ともヒューストンベースのプロミュージシャンみたい)のリズム隊が基本編成。そこにBrothertonの人脈からでしょう、Robert Earle KeenのバンドからMarty Museがペダルスティールで参加。M5「Driving Song」での物憂げに響くペダルスティールが、同曲に参加しているBelleville OutfitのPhobe Huntのバックヴォーカルも相俟って、非常に印象的。その他、Riley Osbournによる鍵盤や、Warren Hoodによるフィドルも挿入される。Osbournの鍵盤も、スティール同様にツボを心得たポイントで鳴り響きます。
勿論、それら豪華ゲスト(いや、あくまでローカルレベルでの話なのかもしれませんが)の演奏が素晴らしい事もありますが、あくまでHarlanの詩情を増幅させる為に機能している点が素晴らしいのです。