Matt The Electrician @ Osaka

小麦アレルギーで、子供の土産にポッキーとチェルシーを買って帰る良い親父、電気屋マットの大阪公演参加してきました。本公演最大のサプライズは何と言っても全編バンドセットであった事に尽きるのではないでしょうか。そして、この日のバンドには、演奏・曲とも楽しさ・暖かさで溢れる、それがオーディエンスに伝わる、そして演者側に再び還元される、この循環がライヴを良い物にしていく。日本人をバックにつける事を嫌う人もいるだろうが、そんな否定を覆すだけの熱量があの夜には存在したのです。
リハで合わせたのは全体の3割程度。曲が進むごとに、調子を上げていくバンド。1stセットのラストは、怒涛の如く「Train」で締め。客席が酔いどれテキサンなら、踊り狂った事でしょう(笑)。2ndセットのハイライトは何と言っても、杉本"Q"ひとみさんのフィドルをフィーチャーした「Lost」・「Cotati」の2曲ではないでしょうか。「Lost」は、自殺した女友達について歌った曲。バンドセットにあって、肉を削ぎ落とした演奏で展開されるからこそ、エモーショナルなマットのヴォーカルが前面に出る。「Let Me Down」でヒートアップした会場の空気を一変、オーディエンス全てが、マットの放つ言葉の一つ一つをかみ締めるように聴き入っていた。そして次の曲「Cotati」へと。フィドルが、リハを含めて2度目とは、会場の誰もが思っていなかったはず。歌に絡みつくフィドル、スタジオ盤よりややスローにアレンジをかけて、9年前のマットを、現在のマットが情感タップリに歌い上げる。9年間の経験が、曲に確かな肉付けをしていた。「Lost」から「Cotati」と来た時は、正直ファインダー越しにグッと来るものがありました。
この日、終演後にふと脳裏を過ぎった言葉がある。"ミュージシャンシップ"以上に相応しい言葉は、私の貧困なボキャブラリーの中では思いつかなかった。